建設現場に行くと特に技能職の方々で高齢者が目立ちます。
先日も近所で道路工事がありましたが、現場で働いていたのはどう見ても70代くらいのお年寄りの皆様。
このままだと、建設業は成り立たない事態となりそうです。
とは言え、この問題は建設業だけではなく、全産業に言えることでもあります。
少子高齢化の波はそう簡単には解決できる問題ではないためです。
そうなると若手の労働力に期待するのは、そもそも難しいのかもしれません。
そうなると方法は3つです。
1つ目は外国人労働者を雇用すること。
国内に若手の労働力が無いのであれば、外国に求めるということです。
実際、建設業における外国人労働者の数は増えており、厚労省の調査では2022年10月時点で、7年前である2016年と比較すると、2.8倍にも増加しています。
とは言え、円安傾向の昨今、なかなか外国人労働者の確保も難しく、まだまだ国の規制も厳しいため、これだけで解決というわけにはいかなそうです。
2つ目は技術革新による省人力化です。
今まではどちらかというとCADや積算ソフトなど、設計や事務系の業務が中心でしたが、ドローンや建設用ロボット、建設機械の遠隔操作など、現場作業そのものにも影響を及ぼすものも増えてきました。
建設現場が自動化され、ほとんど人が存在しないという未来もそう遠い未来ではないのかもしれません。
そのためには会社としてそれらの新しい技術を導入し、それらをコントロールできる人材を育てる必要があります。
今までの建設人材だけではなく、IT分野などにも明るい人材の採用や、その分野のアウトソーシングを検討する必要があります。
IT技術者はフリーランスなども多いので、技術者派遣やコンサルタントにお願いする方法もアリかもしれません。
3つ目は魅力的な仕事にすることです。
少子高齢化で若手が少ないとは言え、後継者がいなければ、建設業は成り立っていきません。
とは言え、若手が少ない現状では採用できる人数も限りがあります。
そのため、どうしても少数精鋭の組織とする必要に迫られます。
そうなると採用においては誰でも良いというわけにはいかず、優秀な若手社員を厳選して採用する必要があります。
ですが、優秀な人材はそのための条件が揃っているところにしか集まりません。
そのためには、前回のコラムでも書いた「新3K」が必要となります。
ですが視点を変えると、建設業界の業績自体は上向いており、他の業界よりも実はアドバンテージがあります。
上場ゼネコン53社の2023年3月期末の繰越工事残高は18兆7,715億円(前期比5.8%増)で、3期連続で増加し、市場規模は拡大しています。
そう考えると他の業界と比べても、十分人材を確保できる素地はあるのです。
建設業が魅力的な仕事であることをもう少ししっかりアピールして、人材確保と技術革新を進めていくことが肝心かと思います。