コラム

2025.09.29

【“すごい”建築】建築の祭典ともいわれる「EXPO 2025 大阪・関西万博」編 ②

筆者撮影

【“すごい”建築】建築の祭典ともいわれる「EXPO 2025 大阪・関西万博」編 ②

長い年月をかけて、さまざまな困難を乗り越えた末に完成する建築物。一戸建て住宅、マンション、複合ビル、ホテル、ミュージアム……建築物の種類は多種多様だが、どんな建築物にも多くの人の手が掛かっている。各領域ごとの専門家が知恵を出し合い、多くのプロセスを踏んで、建物を建てている。

こうして生み出された建築物からは学びが多い。とくに近年は、美しいデザインとサステナビリティなアイデアを両立した建築物が増えている。【“すごい”建築】シリーズでは、今注目したい建築物を紹介する。第2弾では、前回に引き続き、大阪・関西万博の面白い建築物をピックアップした。

1. ウーマンズ パビリオン/国内パビリオン

筆者撮影

パリ発のジュエリーメゾン「カルティエ」をはじめ、内閣府、経済産業省、博覧会協会が共同で出展するパビリオン「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」。コンセプトは、「When women thrive, humanity thrives ~ともに生き、ともに輝く未来へ~」。すべての人々が調和し、尊敬し合いながら、共に歩んでいける世界のあり方を問いかけている。

ウーマンズ パビリオンは、繊細な組子ファサードが印象的。遠くからでも存在感を放ち、見る人の心を惹きつける。組子ファサードが絶妙に光や風を透過させるため、自然と調和した心地よさを感じられる。昼夜で趣が変化する様も美しい。

この組子ファサードは、2020年ドバイ万博日本館で使用したものを再利用した。リユースした建材と共に、パビリオンが訴えるメッセージ性も引き継いでいる。

設計:永山祐子 施工:株式会社大林組

▶︎ウーマンズ パビリオンの詳細はこちら

https://womenspavilion.cartier.com/ja

2. アゼルバイジャンパビリオン/海外パビリオン

筆者撮影

どこから見ても、遠くから見ても美しいのが、アゼルバイジャンパビリオンだ。レースのような繊細な質感は、夜でもよく映える。一見、角ばった四角い建造物だが、角度を変えると、7つのアーチで構成されていることに気づく。建造物全体で「持続可能性のための7つの橋」を表現している。

7つのアーチをくぐり抜けながら、欧州とアジアの交差点に位置するアゼルバイジャンの多様な文化を体感できる。

設計:ベルプラット・パートナー、イレブン

▶︎アゼルバイジャンパビリオンの詳細はこちら

https://www.expo2025.or.jp/official-participant/azerbaijan

3. フランスパビリオン/海外パビリオン

筆者撮影

連日大行列のフランスパビリオンは、建造物としてとても大胆で、よく目立つ。劇場をイメージしたというエントランスでは、輝く階段が存在感を放つ。建物の側面はカーテンのようなファブリックで覆われており、風に合わせて揺らめいている。夜はトリコロールカラーにライトアップされ、かなりド派手な印象に様変わりする。

フランスパビリオンのテーマは、「愛の讃歌」。LVMHがメインパートナーとして協賛しており、ファッションやアートを通して、本物の美学を堪能できる。日本の建築家・重松象平氏が内観を手掛けたルイ・ヴィトンのエリアは、圧巻のひと言だ。

設計:トマ・コルデフィ、カルロ・ラッティ

▶︎フランスパビリオンの詳細はこちら

https://www.expo2025.or.jp/official-participant/france

4. UAEパビリオン/海外パビリオン

筆者撮影

UAE(アラブ首長国連邦)パビリオンのコンセプトは、「大地から天空へ」。それをそのまま表現するかのごとく、床から天井まで、まっすぐに巨大な柱が伸びている。高さ最大16mの柱が90本!そのうえ、外周は全面ガラス張りで、入館前から期待感を高めてくれる。

柱は「ナツメヤシ」から着想を得た。UAEの伝統的な建築様式である「アリーシュ」に、日本の木工技術を融合させるなどして再解釈し、建築デザインに取り入れている。

設計:アース・トゥ・イーサー・デザイン・コレクティブ

▶︎UAEパビリオンの詳細はこちら

https://www.expo2025.or.jp/official-participant/uae

5. 住友館/民間パビリオン

筆者撮影

「さぁ、森からはじまる未来へ」をキャッチコピーに掲げる「住友館」。東ゲートから入ってすぐに現れる、不思議な形の建造物には思わず目を奪われる。

曲面を生かした特徴的な屋根の形は、愛媛県新居浜市に位置する別子の山々のシルエットから着想を得た。別子銅山により大きく発展した住友グループの“礎”を表現している。

建材には、住友グループが保有する「住友の森」の木を約1000本使用。木を無駄にしないために加工方法を工夫し、合板を用いた。エントランス周辺には、前回の大阪万博開催年(1970年)に植樹された「住友の森のスギ」を活用している点もポイントだ。

基本設計:株式会社電通ライブ、株式会社日建設計 実施設計:株式会社電通ライブ、三井住友建設株式会社

▶︎住友館の詳細はこちら

https://sumitomoexpo.com

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