
40度超えがめずらしくなくなってきた昨今、すべての人にとって、熱中症対策が欠かせない。2025年6月には、事業者の熱中症対策が法的に義務付けられ、ますます身近な課題となっている。
熱中症のリスクと隣り合わせの建設業では、以前から対策意識が高い。今回は、建設業で、熱中症対策として取り入れられているアイテムをピックアップ。建設現場の声から生まれた食品や、試験運用中の新設備などを含めて、合計5つ紹介する。
1. 累計売り上げ400万本!「ゼネコンがつくったしおゼリー」
ゼネコン発の熱中症予防ゼリーとして今話題になっているのが、「ゼネコンがつくったしおゼリー」。大阪の中堅ゼネコン「三和建設」が手がける、異例の商品だ。
「ゼネコンがつくったしおゼリー」は、もともと、2020年に自社現場向けに開発されたもの。新聞掲載をきっかけに同業からの要望が集まり、2021年から社外への販売をスタートした。現在では、累計400万本の売り上げを誇る、人気商品となった。
建設作業員が手軽に塩分を補給できるよう、形状は食べやすいスティック型。すっきりとした味わいで、冷やして食べるとよりおいしい。「建設業から熱中症をなくす」という想いのもと、現場のプロがつくった名品だ。
▼「ゼネコンがつくったしおゼリー」は、三和建設が運営するECサイトから購入可能
2. 建設会社の要望から誕生した「熱中飴」
熱中症対策の定番である、飴やタブレット。建設現場での作業のお供として、ぜひ注目してほしいのが、井関食品が製造する「熱中飴」だ。
井関食品は、飴菓子の製造を行う大阪の老舗企業。昔ながらの手法を守りながら、さまざまなラインナップの飴を展開している。なかでも、一際目を引くのが、ビビッドなパッケージに、真っ赤な文字で名前がデザインされた「熱中飴」。建設会社からの要望を受け、熱中症対策用の飴として開発された。
フレーバーは、レモン・梅・夏みかん。塩分を手軽に補給でき、そのうえ、おいしく食べやすい。建設業の熱中症対策に限らず、さまざまなシーンで活躍してくれそうだ。
▼「熱中飴」の詳細はこちら
3. 従業員のアイデアを生かしたプロジェクトの施策「ひんやりBOX」
積水ハウスでは、2025年6月から従業員のアイデアをもとに、「現場クールプロジェクト」を始動。熱中症対策をアップデートし、建設現場環境の改善に努めていく。
施策のひとつとして試験運用されているのが、日野興業と共同開発した「ひんやりBOX(仮称)」だ。壁面に冷房機器が設置された冷房休憩施設であり、冷風を首元に当てるなど、高い冷却効果が期待できる。
仮設トイレの躯体を活用しており、省スペースなのもポイント。設置場所の自由度が高く、狭小地にも置きやすい。
【番外編】建設会社の福利厚生にも活用される「シンクロンコーワ」
建設会社が企画したわけではないが、建設業界からも支持されるドリンクがある。さまざまな事業を展開するグローバル企業「興和」が、大谷翔平選手と共同開発した「シンクロンコーワ」だ。「シンクロンコーワ」のラインナップには、運動前におすすめの「アクティブモード」と、その顆粒タイプ、運動後におすすめの「クールモード」の3種類がある。
興和の本社がある愛知県の総合建設会社「永賢組」では、「シンクロンコーワ クールモード」を福利厚生に導入した。同商品は、運動後のボディサポートに適している。失われがちな水分や栄養成分を補給し、コンディショニングをサポートすることから、建設現場からの注目度も高い。永賢組では、法令遵守にとどまらない熱中症対策として、全社員に「シンクロンコーワ クールモード」の支給を決めた。
▼「シンクロンコーワ」の詳細はこちら
https://hc.kowa.co.jp/syncronkowa
【番外編】建設現場での導入多数「アイススラリー冷蔵庫」
総合電機メーカーのシャープは、市販のペットボトル飲料からフローズンドリンク(アイススラリー)を生成できる「アイススラリー冷蔵庫」を法人向けにレンタルしている。同製品は、総合建設業の竹中工務店や奥村組土木興業などでもすでに利用されており、建設業からの支持が厚い。
アイススラリーは完全に凍った飲み物と異なり、流動性があるため、冷蔵庫から取り出してすぐに飲むことが可能。飲み込んだ後に微細な氷が溶け出し、体を中から冷やしてくれる。暑熱環境下での作業でも、効果的に体内温度を下げられる。
さまざまな種類の飲料でつくれるため、おいしく暑さ対策ができるのも魅力のひとつだ。
▼「アイススラリー冷蔵庫」の詳細はこちら
https://jp.sharp/business/reizo