コラム

2023.07.31

再開発と地域らしさ

前回、福岡の再開発と屋台についてブログを投稿しましたが、実は、地域文化と再開発については、様々な問題があります。

その一つが、「地域らしさ」をどう残すか。

例えば、東京在住の方が京都へ行くとします。

そうすると東京の人は京都といえば、古い町並みや神社仏閣などがたくさんあると想像します。

京都は観光都市ということもあり、幸いそれを残す文化があるため、町並みやそれに付随するグルメや観光地もそのまま保存されています。

ですが、地域によっては全くそれらを考慮されない再開発なども多く存在します。

再開発という名の下に、東京などの大都市と同じようなデザインのビルやそれをミニチュアにしたような街づくりというものを見かけることもあります。

それがいけないというわけではないのですが、その土地の文化や地域らしさというものは、一度壊してしまうと元に戻すのは容易ではありません。

欧米などは古い建物を長く使うという文化が根付いている地域が多く存在します。

いわゆるヨーロッパらしい建物や町並み、旧市街地などを残しているのも、そういった配慮によるものですが、それらはその国らしさや地域らしさを表す象徴であり、それを守ることも建設会社の仕事の一つです。

日本においても、今回、福岡の屋台を残す運動について、いろいろと見てきましたが、この屋台文化も実は一度は絶滅の危機にあった文化の一つです。

たまたま、福岡市や福岡市民の理解があったため、残すことができましたが、衛生面や酔客の騒音問題などたくさんの問題を抱えていました。

それらを一つ一つクリアにしていくことは大変な努力と市民の理解が必要だったと思います。

再開発は大規模な建て替え工事などが発生し、建設会社やディベロッパーにとっては非常にうれしいことではありますが、インバウンド需要も回復し、観光産業が日本の産業の柱の一つとなりつつある今。

「地域らしさ」を残すことも重要な課題となると思います。

スクラップ&ビルドも大事ですが、建設に携わる我々にとっても、地域らしさや日本の文化というものについて、認識を改め、施主となるお客様にもご提案できようにしたいものです。

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